
採用担当者に好印象を与えるためには、転職理由を明確にし、それを論理的に伝えることが大切です。しかし「退職理由をどう伝えればよいのか分からない」「転職理由が漠然としている」と悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、この記事では転職理由を明確にする3つのステップを紹介します。効果的な伝え方や注意点についても解説するので、転職を検討している方は最後までご覧ください。
転職理由を明確にする3ステップ

転職理由を明確にしたい方は、次の3ステップを実践しましょう。
- 転職したい理由を書き出す
- 現職でその希望が実現できない理由を考える
- 転職先でその希望が実現できる理由を考える
転職したい理由を書き出す
まず「なぜ今の会社を辞めたいのか」を具体的に書き出してみましょう。漠然とした不満を抱えたままだと、適切な転職先を見極めることが難しくなります。
転職理由は一つではなく、複数の要素が絡み合っていることが多いため、会社を辞めたいと感じる理由を整理することが大切です。転職したい理由を書き出す際は、感情的な表現を避け、客観的な事実に置き換えることを意識しましょう。
たとえば「上司が嫌い」と感じている場合、それを「指示が曖昧で業務効率が悪い」と言い換えることで、本質的な課題が明確になります。同様に「成長できない」という漠然とした不満も「専門分野の教育制度が整っていない」といった具体的な状況に落とし込むことで、転職理由がより論理的かつ説得力のあるものになります。
現職でその希望が実現できない理由を考える
転職理由を書き出した後は、なぜその希望が現在の職場で実現できないのかを掘り下げて考えましょう。現職で希望が叶わない理由を明確にすることで、転職後に同じ問題に直面するリスクを回避できます。
たとえば、あなたが「昇進のチャンスがない」と考えている場合、現職で昇進のチャンスが限られている理由が何かを考えることが重要です。それが「会社の昇進制度が整っていないから」なのか「上司が新しい業務を任せてくれず、キャリアアップの機会がないから」なのか、その原因を掘り下げることで、昇進のチャンスがある企業を探せるようになります。
ただし、希望が実現できない理由が自分自身のスキルや経験に関連している場合、必ずしも転職を選ぶ必要はありません。部署異動を申し出たり、上司にスキルアップの機会を求めたりすることで、現職でも希望を叶えられる可能性があります。
転職先でその希望が実現できる理由を考える
最後にこれまでの分析を踏まえ、自分の希望が実現できる職場を見つけてみましょう。昇進のチャンスや業務内容、ワークライフバランスなど、自分の求めている条件が本当に実現できるのかを入念に確認することが重要です。
求人情報だけでは判断できない情報も多いため、企業のWebサイトや口コミサイト、SNSなどもチェックしてみましょう。特に、社員の声は、職場の雰囲気や仕事内容を理解するために役立ちます。
また、面接の際には積極的に質問をし、情報収集では分からなかった点を確認することも大切です。このように、多角的な視点から企業を分析することで、入社後のミスマッチを防ぎ、長期的に活躍できる職場を見つけられます。
転職理由をうまく伝える方法

転職理由を効果的に伝えるためには、次の3点を意識することが大切です。
- 結論から話す
- 志望動機と一貫性を持たせる
- 努力したことを具体的に話す
結論から話す
採用担当者は限られた時間で面接を行うため、長々とした前置きは避け、簡潔に結論を述べることが大切です。たとえば、面接で「なぜ転職を考えたのですか?」と質問された場合、最初に「新しい職種に挑戦したいと考え、転職を決意しました」と結論を述べます。
その後、希望職種に興味を持ったきっかけやキャリアプランなどを詳しく説明しましょう。このように結論を最初に伝えることで、面接官は質問の意図を正確に理解し、その後の説明をより注意深く聞けるようになります。
また、前置きを話し始めると、途中で自分が何を言おうとしているのか、見失ってしまうことも少なくありません。しかし、最初に結論を述べることで、話の流れが明確になり、自分自身も何を話しているのかを整理しやすくなります。
志望動機と一貫性を持たせる
転職理由と志望動機が矛盾すると、面接官は「本当にこの業界や職種を希望しているのか?」と疑問を抱く可能性があります。たとえば、志望動機として「現職では成長機会が限られていた」と述べ、転職理由で「御社で新たな挑戦をしたい」と言うと、一貫性が保たれており、説得力があります。
しかし、志望動機で「専門性を活かせる環境を求めて転職を決めた」と述べながら、転職理由として「柔軟な働き方に魅力を感じている」と伝えると、面接官は「結局、自社の何に魅力を感じているのだろうか?」と疑問に感じるでしょう。このように、転職理由と志望動機が矛盾していると、面接官に不信感を与えてしまいます。
そのため、書類提出や面接前には、必ず転職理由と志望動機が矛盾していないか、一貫性のあるストーリーとして語れるかを確認しておきましょう。転職面接を控えている方は、こちらの記事もご覧ください。
努力したことを具体的に話す
仕事への意欲を効果的に伝えるためには、単に「努力しました」と述べるだけでなく、努力の過程を具体的に説明することが重要です。どのような目標を設定し、どのような課題に直面し、それをどのように乗り越えたのかを明確に語ることで、真剣な姿勢が伝わります。
また、その努力が転職後にどう活かせるのかを説明できれば、面接官に強い印象を与えられます。たとえば、新しいシステムの導入に向けて自主的に勉強を重ね、チームに導入方法を提案した経験を具体的に語ることで、努力の成果をより説得力を持って伝えられるでしょう。
資格取得や業務外での学習といった取り組みも、自分なりのエピソードを添えることが効果的です。
転職理由別の回答例文

転職理由別の回答例文をもとに、どのように伝えるかを考えてみましょう。
- 新しい業界に挑戦したい
- 新しい職種に挑戦したい
- ライフプランに合った仕事をしたい
- 地元に戻りたい
- 年収をアップさせたい
- 将来性のある会社で働きたい
新しい業界に挑戦したい
新しい業界に挑戦する場合は「なぜその業界なのか」を具体的に説明しましょう。また、現職で身につけたスキルがどう役立つのかを示すことで、成長意欲と将来展望を効果的にアピールできます。
回答例文)私は以前、IT業界でシステム開発の業務を担当していましたが、高齢化社会が進む中で、人々の健康と生活を支える医療業界に挑戦したいと考えるようになりました。現職で培ったシステム設計や問題解決能力は、医療現場の業務効率化や医療データの活用といった分野でも、十分に役立つと考えています。
新しい職種に挑戦したい
新しい職種に挑戦する場合も、過去の経験がどのように新たな業務に活かせるのかを説明することが求められます。さらに、その職種に必要なスキルを習得するために、どのような準備をしてきたかを具体的に説明することが重要です。
回答例文)これまで、マーケティング職として広告キャンペーンの企画運営に携わってきましたが、今後は人事職に挑戦したいと考えています。特に、社員のキャリアアップや組織づくりに貢献したいです。マーケティング職で培ったデータ分析やニーズを把握するスキルは、人事職においても社員のスキル向上や適切な配置に役立つと感じています。
ライフプランに合った仕事をしたい
育児や介護とのバランスを重視したい、または趣味に時間を割きたいという理由で転職を考えることもあります。このような場合、待遇面だけを強調するのではなく、どのように企業に貢献できるかを伝えることが重要です。
回答例文)介護が必要な家族がいるため、柔軟な働き方ができる環境を求めています。現職では残業や休日出勤が続き、家族のケアに十分な時間を割くことが難しくなっていました。御社では在宅勤務や勤務時間の調整など、柔軟な働き方ができると伺い、魅力を感じています。家庭との両立を図りつつ、御社の発展に貢献できるよう、自分の役割を意識しながら主体的に行動していきたいと考えています。
地元に戻りたい
地元に戻る理由を伝える際は、単なる帰郷希望にとどまらず「地域貢献への意欲」を強調することが大切です。地域の活性化や社会貢献にどのように取り組むかを具体的に説明することで、採用担当者に前向きな印象を与えられます。
回答例文)地元の地域活性化に貢献したいという思いが強くなり、転職を決意いたしました。私は以前、イベント運営の仕事をしていました。その経験を活かし、地元の文化や地域資源を取り入れたイベントの企画・運営を通じて、地域に貢献したいと考えています。
年収をアップさせたい
年収アップを目的とした転職であっても、給与面だけを重視していると思われないよう注意が必要です。現職の待遇に対する不満を前面に出すのではなく、将来のキャリアを見据えた成長意欲やスキル向上への姿勢を強調することで、前向きな動機として伝わりやすくなります。
回答例文)現在、マーケティングアシスタントとして広告キャンペーンの企画・運営に携わっています。今後はマーケティングマネージャーとして、戦略の立案から実行まで一貫して担当し、企業の成長に貢献したいと考えています。
将来性のある会社で働きたい
将来性のある会社で働きたいという理由で転職する場合は、その企業の取り組みやビジョンに触れることが大切です。そのうえで、自分がどのように貢献し、会社の成長をサポートできるか、企業の事業計画と自分の強みの関連性を明確にしましょう。
回答例文)これまで製造業で品質管理を担当し、製造プロセスの改善や不良率の低減に取り組んできました。今後は、急速に進化するIT業界において、新たなサービスや仕組みの創出に関わりたいと考えています。御社が推進するAIやDX関連のプロジェクトには大きな可能性を感じており、特にプロダクトやサービスの品質保証体制の構築・改善といった領域で、私の知見が活かせると考えています。
転職理由を伝える際の注意点

転職理由を伝える際の注意点は、以下の通りです。
- ネガティブな表現を避ける
- 受け身の理由にしない
- 待遇だけに焦点を当てない
- 嘘や誇張を控える
- 企業に貢献できることを強調する
ネガティブな表現を避ける
現職に対する不満や愚痴をそのまま言ってしまうと、面接官にマイナスな印象を与えてしまいます。そのため、具体的なエピソードを伝える際は、前向きな表現に変換することを意識してみてください。
もし、成長できない環境だと感じている場合は「現在の職場では成長の機会が限られているため、スキルアップしたいと考えて転職を決意しました」といった、冷静で前向きな言い回しを心がけましょう。退職理由の答え方に悩んでいる方は、こちらの記事もご覧ください。
受け身の理由にしない
「現職で特にやりたいことがなかった」「会社から異動を命じられた」といった受け身な転職理由では、面接官に消極的な印象を与える可能性があります。そのため、キャリアアップや専門性の発揮など、自発的な目的に基づく転職であることを明確に伝えることが大切です。
たとえば「AI開発の経験を積むため、御社の研究部門で貢献したい」といったように、具体的な目標を添えることで、意欲や方向性が伝わりやすくなります。
待遇だけに焦点を当てない
給与や福利厚生などの待遇に不満を感じ、転職を考えるケースも少なくありません。しかし、そうした理由だけを強調してしまうと、面接官に「この人は働く環境にばかり関心があり、仕事の中身や成長には関心が薄いのではないか」と受け取られてしまう恐れがあります。
そのため、待遇への不満を伝える場合でも「自分がどう成長したいのか」「どのように能力を発揮したいのか」といった前向きな要素とセットで語ることが大切です。
嘘や誇張を控える
面接で転職理由を伝える際には、事実に基づいた説明を心がけましょう。仮にその場で高い評価を得られても、嘘や誇張が後から明らかになると、信頼を大きく損なうリスクがあります。
たとえば「現職でプロジェクトのリーダーを務めている」と伝えても、実際には補佐的な役割だった場合、その後の質問に答える中で矛盾が生じてしまうかもしれません。
企業に貢献できることを強調する
選考では単に自分の希望を語るだけではなく、企業目線でどのように貢献できるかを考え、それを明確に伝える必要があります。特に、応募先企業の課題や社風を理解し、それに合わせて自分のスキルや経験を活かせる方法を説明すると効果的です。
しかし、企業ごとの課題やニーズを把握することは容易ではありません。そのため、転職理由をうまく伝えたい方は転職エージェントを活用するのがおすすめです。各企業や転職活動に詳しいキャリアアドバイザーにアドバイスをもらうことで、応募先に適したアピール方法を効率的に考えられます。
たとえば、東海3県に特化した弊社の「転職エージェント」では、地元企業に詳しいキャリアアドバイザーが面接のアドバイスを行っています。書類選考や模擬面接など、転職活動全般をサポートしているので、愛知・岐阜・三重で転職を検討している方はぜひご活用ください。
まとめ
この記事では、転職理由を明確にするための3ステップや効果的な伝え方、注意点について解説しました。転職理由をしっかりと整理することで、面接時に説得力のある回答ができるようになります。
さらに、志望動機と一貫した理由を伝えることで、面接官からの信頼を得られます。そのため、転職活動を成功させたい方は、この記事を参考にしながら転職理由を整理してみてください。
転職理由をうまく伝えられないと悩んでいる場合は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。愛知・岐阜・三重に特化した弊社の「転職エージェント」では、1対1の面談を通じて、キャリアプランを一緒に設計します。
また、希望に合った求人の紹介や書類の添削、面接のアドバイスなど、幅広いサポートを行っています。無料で地元企業に詳しいキャリアアドバイザーに相談できるので、東海地方で転職活動をしている方はぜひご活用ください。
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